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BLOG FUSHA

諏訪へ

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以前、雑誌『ソトコト』2006年9月号を読んだ時に、ある記事がとても印象的だった。

それは「縄文聖地巡礼」。
音楽家の坂本龍一さんと人類学者の中沢新一さんが、縄文の聖地といわれる場所を訪れるというプロジェクト。それがちょうど第一回目の連載だった。
そしてその記念すべき一回目に両氏が訪れたのは、長野県の諏訪。
諏訪を歩き、そのエネルギーに触れる―。
記事の中で、僕が一番ゾクッとしたのが、茅野市高部にある諏訪七石の一つである、”小袋石”だった。


その記事を読んでから、「今年の内に、しかも冬になる前に行きたい」と思うようになった。


そして今日、車で諏訪へ。

出発しておよそ二時間。諏訪大社の祭祀を司った守屋家へ到着。
詳しい場所がどう調べても分からなかった小袋石だったのだけれど、守屋家にいた受付の方はさすがに知っていた。

守屋家の旧屋敷の裏山を、中腹まで登ると、史跡を紹介する縦看板が見えてくる。
そこからは車を降り、車道の脇の藪の中へ。
転がり落ちそうな急斜面をしばらく登った森の中に、それはあった。

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大きい。近くに寄ると見上げてしまう程の大きさ。高さ12.3m、横7.8mもあるらしい。

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岩の下を湧き水が流れ、周囲に絶えず水が流れる音が響く。
その音と森というロケーションで、辺りには不思議な雰囲気が漂っている。

石の前に着いたのは12時半ごろ。その時刻でも、背中にある山影で、周囲は薄暗い。
どうやらこの場所に太陽の光があたる時間はかなり少なそうだった。
急いで紙とペンを用意して描き始める。
(実際、日の光は午後三時ごろには届かなくなってしまった。)

そして、描いていて感じたこと。
それは「ここまで大きく迫力のある石なのに、見る人を威嚇するような感じではなく、穏やかで優しい」という印象だった。この辺りが、「小袋石」と名付けられている所以でもあるのかもしれない。


描き始めて4時間ほど。
辺りがどんどん薄暗く、涼しくなっていく。
まだ途中だったけれど、どうやら頃合(山の中で熊が出そうな所だったし、描いている最中も誰も来なかったし)のようだった。

五時ごろには小袋石を後にして、帰途へ。

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(アルシュ全紙にピグマ、リブを使用)

かなり強行軍の一日だったけれど、行きたかった諏訪へ行けて良かった。石の前に佇んでいた たった少しの間に、何だか去りがたいものを感じるようになっていました。

さあ、これからの問題は描き残しの部分をどうやって描こうかということ…。

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(水彩紙に描く前にラフスケッチ。
この場所で良いか…という感じで)

夕歩
by studiofusha | 2006-10-19 20:51